自己破産の増加は、金銭教育の欠如や相談窓口の不整備なども指摘されています。

多重債務に対する一面的な見方

2006年12月20日に公布された貸金業関連法の一部改正法は、
その目的を「深刻化する多重債務問題」を解決するものとしており、このため、上限金利の引下げや総量規制の導入を行った。

 

上限金利の引下げは、2006年1月13日の最高裁判決を受けて
長年の懸案事項であった利息制限法1条2項問題を解決する、すなわちグレーゾーン金利帯をなくしてしまうというものでもあったが、
「金利が高いから多重債務になる」という主張を一方的に受け入れた結果でもある。

 

 

金銭教育

法改正議論当時から、

「多重債務問題の可決こそ喫緊の課題である」としながらも「多重債務とは何か」という定義については曖昧なまま進み、
それを明確にしないことへの批判も一部にはあった。

 

 

そのためか、公布された改正法においては、附則として「多重債務問題」を次のように定義づけている。

 

貸金業を営む者による貸付に起因して、多数の資金需要者等が重畳的又は累積的な債務を負うことにより、その営む社会的経済的生活に著しい支障が生じている状況をめぐる国民生活上及び国民経済の運営上の諸問題

 

抽象的で分かりづらいが、簡単に言えば
「貸金業者からの借金がふえたことが原因で生活に支障を来たした状況から起こる諸問題」
ということになる。

 

 

 

 

ここでは、「多重債務化した原因」や「銀行からの借入や住宅ローン等の債務」は問題となっていない。

 

それでは、なにをもって「多重債務問題が深刻化している」としているのだろうか。

 

 

これについては、金融庁が公表している資料
「貸金業法等の改正について~多重債務問題の解決と安心して利用できる貸金市場を目指して~」
の中に
「多重債務問題の深刻化」
と題するペーパーがあり、次のように示されている。

 

借入5件以上の債務者は約230万人、これらの者の平均借入総額は約230万円

 

多重債務者は増加している

自己破産者は約184万人
※経済生活問題による自殺者は約7800人

 

また、なぜ多重債務化するのか、その要因については様々な場所で次のような主張をされることが多い。

  • 金利が高いため返済資金を他から借り入れなければならなくなり、その結果債務が雪だるま式に膨らむ
  • 貸金業者が借り手の返済能力を無視した過剰融資を行っている
  • テレビCMなどで誘引し、自動契約機など簡単に借りられるシステムを作っていることで安易な借入を誘発している

 

上記に加え、金銭教育の欠如や相談窓口の不整備なども指摘されることが多いのだ。

 

 

これらのものをすべて否定しようとするつもりはない。
業界側も当然のことながら反省すべき点はあるだろう。

 

少なくとも、これらの批判に対して正当な反論があるならそれを根気強く主張し続けるべきだったろうし、反省すべき点があるならいち早く自主規制によって是正すべきだったことは否定しない。